天覧試合

私は直接その試合を見たわけではない。
投手はあのザトペック投法の阪神・村山実選手。
打者は巨人・長島茂夫選手。
同点で迎えた九回裏、長島のバットが村山実の投げたボールをはじき返していた。

歓喜に踊りながらベースを一周する長島選手の後方にうなだれてベンチに引き揚げる村山選手の姿が
見えていた。
すでにセピア色となった世界の物語である。
勝者と敗者、こんなむごい関係はないと思う。
たかが野球とは言え、この落差の大きいこと。

海の向こうでは野球とは言わず、ベースボールと言う。
その言い方はおかしいかも知れない。
もともとベースボールがあっての、野球なのだから。

ベースボールでは引き分けはないと言う。
勝負である以上、勝ち負けのつかないものは勝負ではないのだろう。
勝ちにこだわってこそのベースボールなのである。

最後まで、村山投手があのボールはファールだったと言っていたと言う逸話もうなずける気がしてきた。

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